豊かさが循環する
活かし合うつながり
宮城県仙台市、枝豆をメインに野菜農家を営む田代氏。
市街地から車でわずか30分ほどの農園は、住宅街や大型スーパー・飲食店も多い都市近郊の七北田川沿いにある。
品種や肥料にこだわる田代農園の野菜は、野菜のえぐみや苦味などのクセがなく、大人から子どもまで食べやすいと好評。フレッシュな香りや甘味はフルーツのようで、野菜が嫌いな子が喜んでまるかじりすることも。
そんな田代農園の畑には、出荷先の人たちが日頃からたびたび顔を出す。
訪れた日も、ちょうど野菜を取りにきたシェフと出くわした。
「仙台はちょっと行けば畑があって生産者が居て漁師がいる、それが僕たちの一番のストロングポイント。
畑と海と土の近くにいないと料理が美味しくならないような気がします。語れる何かもあるし。
想いがちょっと料理に乗るんですよ、生産者の気持ちも。
生産者の見えない野菜を使うより、田代くんの顔を見てきた方が美味しくなる、そういうものなんです。」
話をしてくれたのは仙台駅に隣接するシティホテル「ホテルメトロポリタン仙台」の小畑 圭介シェフ。海山の食に恵まれた宮城の地産地消料理にこだわるホテルのレストラン料理長だ。
今回の取材を通して見えてきたのは、つくり手と買い手、食べてくれる人たちが信頼と敬意を寄せ合う素晴らしい関係。
お金には変えられない人とのつながりの中に、心も経済も自然に、豊かに循環していくヒントがたくさんあった。