お肉の調理 斯くあるべし
こんにちは!
Marketer shinです。
めちゃくちゃ暑くなってきて、そろそろ煮込み料理も封印する時期ですね💦
しかーーし!!私は煮込み系の料理が好きで今週もキッチンで滝汗かきながら3回圧力鍋を使いました!笑
トロトロに柔らかくなってたりホロホロと繊維が崩れるお肉っておいしいですよね~✨
今回は、経験則として皆さん知っているお肉の調理特性について、タンパク質変性に着目してご紹介!
■ローストビーフや鶏ハム
■ハンバーグ
■牛筋やすね肉の煮込み料理
の3つの種類のお料理について「調理と理論」や「食品加工学」あたりの授業や教科書を思い出しながら説明したいと思います。
(実はshinは管理栄養士)
ローストビーフや鶏ハムのようなしっとり柔らかな食感にしたい場合
☆こちらは熱によるタンパク質の一般的な変性と保水性について考える必要があります。
・筋原線維タンパク質であるアクチンやミオシンは、40〜60℃で変性開始、60℃を超えるとタンパク質が収縮して水分が流出し始めます。
⇒これを防ぐには、低温調理(60〜65℃程度での湯煎など)が効果的!!
ただし、低温調理は他の調理方法を比較して食中毒のリスクが心配という方もいると思います。
厚生労働省の大量調理施設衛生管理マニュアルという法律で定められている中心温度75℃1分以上という基準があるのですが、これと同等の加熱殺菌基準を満たす加熱時間は、中心温度63℃30分以上の加熱が必要となります。
低温調理時はこちらの加熱時間を目安にしてみてください✋
ハンバーグなどのひき肉料理
ジューシーなハンバーグを作るコツは【コネ】にあります。
☆肉に含まれる「アクチン」や「ミオシン」などの筋原線維タンパク質は、塩(NaCl)に溶けやすい性質を持つため「塩溶性タンパク質」と呼ばれます。
この性質を利用して
・ひき肉に塩を加えてよく練ることで、筋原線維タンパク質が溶出。
・溶け出したミオシンなどがネットワーク状の構造を形成し、水分や脂肪を保持。
⇒これにより、ジューシーでまとまりのあるハンバーグが作れる。
💡塩を入れるのは肉を練り始める最初の段階で、また、手や肉や調理器具などをあらかじめ冷やしておくなど、練るときに温度が上がらないようにするのがポイントです。
肉の脂が手の熱で溶けだしてしまうと、せっかくネット状になったタンパク質からすり抜けてしまい、焼くときに閉じ込められなくなってしまいます。
なので、しっかり冷やして、タンパク質のネット内に水分と油脂分を閉じ込めてあげる、それから焼きはじめは両面をしっかり焼き固めてから蒸し焼きにして中まで火を通すことで、肉汁を内側に閉じ込めることができます。
炒め玉ねぎを入れる派の方は、ぜひ前日に玉ねぎを炒めて冷やしておいてください!
牛筋やすね肉などの煮込み料理の調理
すね肉・すじ肉などに多く含まれる「コラーゲン」、これも結合組織由来のタンパク質なので、熱によって変性します!
☆通常は硬いのですが、加熱によってゼラチンに変性するこで、柔らかくなります。
60〜70℃以上でゆっくり加熱すると、コラーゲンが徐々にゼラチン化します。
この変性により、肉がほろほろと崩れるような食感に💖
圧力鍋や煮込み料理が有効なのはこのためです。
※ただし、先ほどローストビーフや鶏ハムの調理で説明したように、60℃を超えると筋原線維タンパク質が収縮して水分が流出し始めるので、急激に高温で加熱すると水分が飛び、パサつく原因となります。時間をかけてゆっくり加熱するとコラーゲンが溶けて柔らかく、ジューシーになります。
と、ここまで加熱のしすぎは良くないと説明してきましたが、焼いた肉っておいしいですよね。
実は肉を焼いたときに発生する「アミノカルボニル反応(メイラード反応)」は、香ばしさ・コク・旨味・食欲をそそる色や香りを生み出す、肉調理の中で極めて重要な化学反応です。
アミノ酸と糖類が高温(120℃)で加熱することで反応して褐色の色素(メラノイジン)香ばしい香り成分(ピラジン、チオフェンなど)などを生成します。
煮込み料理をする際に表面だけ焼いてから煮込むのは、アミノカルボニル反応を引き出してコクやうま味を補強するためだろうと個人的に考えています!
これは良い具合に柔らかい牛筋カレー!
他にも手羽元カレーなんかもホロホロになってまいうー😋
実験におけるマテリアル・メソッドは再現性を担保する上で非常に重要となるのですが、料理も同じだと思っています!
(実はshinは生物系の院生もやってました。)
ご紹介したポイントを頭の隅に置いて調理をすることで、「今回はたまたまおいしかった」「今回はいまいちだった」と感じる原因の追究に寄与し、料理の出来のばらつきを排して、よりおいしさの再現性を高めることができると思います!
皆さんぜひ意識して料理してみてください。