#3課題とメッセージ

「中山間地域の農業を気にかけてほしい」

「近年の農業政策を見ていると、平野部のための政策が多いように感じます。
でも日本って中山間地域(注1)の方が圧倒的に多いんです。
中山間地域は効率が悪くてなかなか機械化できないところも多いので、もう少し気にかけてくれるといいなとは正直思いますね。」

国の政策はスマート農業(注2)導入のための支援など、より平野部に適したものが多く、中山間地域の個人では導入しにくいことも感じている。

傾斜があり、平野部に比べ機械化や省力化も難しいこの地域は、農業条件の厳しさから担い手不足や高齢化など多くの問題を抱えている。しかし、それと同時に住民の暮らしを守る重要な役割も担っている。
河川流域の上流部に位置する中山間地域で農地を維持することは、洪水や土砂崩れ防止など、多様な機能があるのだ。

中山間地域の課題は国の課題であり、私たちの課題でもあると言える。
日本国土の大半を占め、暮らしを支えてくれている地域へ支援が届いていない、又は届きにくい状況。そのことに一人ひとりが目を向けることで、未来が少しでも良くなるかも、しれない。
まずは知ろうとすること、そしてさらにできることはあるだろうか。

注1)注2)注1)中山間地域とは
  • 中山間地域とは、山間地およびその周辺の地域、そのほか地理的条件が悪く農業をするのに不利な地域を指し、山地の多い日本では総土地面積の約7割、農地では全国の耕地面積の約4割を占めている。高倉氏の農園のある九重町も中山間地域にあたる。
  • “中山間地域等について”.農林水産省.
注2)スマート農業の説明

販路の展開
そして、遊べる40代をつくる

現在は市場に出荷している高倉氏だが、来年はハウスを12棟から14棟へと増やし(面積でいうと40aから53aへ)、試験的に販路を広げていくことを考えている。

去年は北海道産のトマトの豊作が九州まで影響し市場価格が大暴落したが、直販をしている農家への影響は少なかった。市場価格は不安定で価格変動のリスクが大きいため、今後は新たな出荷先との直接取引を目指している。

増設予定のハウスは資材だけでも高額になることが想定された。それでは採算が取れないと考えていたところ、幸運にも先輩の父から資材を譲ってもらえることになり具体的に計画を進めている。

「本当にラッキーでした。忙しくはなるけど30代にもうちょっと頑張って、遊べる40代をつくれたらいいなと思ってます。笑」

新規就農者へのメッセージ

生き方を求めて農業をするのはありだと思うんですけど、仕事にしていくことは今の時代ではリスクが多すぎると思う。

今の農業業界は、農産物の売価は上がらず経費・資材費は上がるという結構厳しい時代なので、本当にやるにしても、今の情勢をよく見極めてされる方が僕はおすすめかなと思います。 厳しい時代でも、逆を言えばピンチはチャンスなんで、そこにチャンスを見出せれば。