#3探し続けていた有機肥料

魚由来の有機肥料に出会った時
「おっ、これはって」

採れたてのピーマンをいただくと、みずみずしく生でもえぐみがない。優しい味で幾つでも食べられそうと伝えると「肥料を変えてからですよ。こんなふうになったのは。」と教えてくれた。神連氏と魚肉エキスでできた大成農材の有機肥料との出会いは、農協の方からの紹介がきっかけだった。

「20年ぐらい前までは化学肥料で栽培するのがあたり前だったけど、なんかこれ違うよねっていう感覚が常にあった。」化学肥料への違和感から、若いころから有機肥料に興味を持ち、自分に合う肥料を探し続けてきた。各地へ視察に足を運び、ある時出会ったお茶農家が「これが一番お茶の味が良い」と見せてくれた肥料が魚だったと振り返る。

魚由来の有機肥料を記憶していた神連氏には、魚肉エキスでできた有機肥料は、自然に取り入れることができるものだったのかもしれない。

「いや、でもほんとうに、この肥料に出会った時、おっ、これはって。2週間ぐらいで良いわぁって分かりました。
それまでは肥料屋さんに良い肥料ないの?っていつも言よった。他の肥料はバーッと一気には効くんですけどその後がなかなか…。納得のいく効き方とかじゃなかった。大成農材の肥料に出会うまで相当色々やりました。」

それからもう10年以上使い続けている。
長年しっくりくる肥料に出会えなかった神連氏にとって、何がどのように良かったのだろうか。

土を優しく使いながら、
長くそこでやり続けられるように

「勘ですね。一気にじゃなかったけど長く効くし、で、病気も出にくい。今は有機肥料も色々な種類があるけど、この肥料は見た目で極端には分かんないんですけど、食べた時の味も違う。あとは、メーカーのアドバイスもしっかりしてるから安心して使える。他の農家にも勧めたらみんな使い出したんですよ。」

有機肥料は化学肥料と比べ効果がすぐに分かりにくいこともあり、収量が上がらない、高い、というイメージも根強いようだが、神連氏の周りには彼の勧めで使い始める農家が増えている。

「1年間のトータルを計算すると、収量もだし、経費的にも変わらない。安価な肥料を使ったとしても、結局木が疲れてきたり、他の資材を入れていかないといけなくなるんです。有機肥料を使っていても疲れることはありますが、その疲れ方が全然違う。以前はピーマンは「肥料食い虫(肥料を吸収する力が強い)」って言われてたけど、実際はそんなに使わなくても出来ますよ。」

年間の収量も10トン/反は上回るとのこと。現在、神連氏は元肥としてバイオノ有機sを、追肥としてエキタン有機を使い、他には籾殻に米ぬかと菌を入れた自家製の堆肥、石灰など、有機物だけで栽培している。
エキタン有機の追肥の頻度は、当初10日〜2週間に1回10kgにしていたが、コンスタントに与える方がピーマンの木に負担がかからないと感じ、雨の日以外は毎日1kgを機械により自動で与えている。

神連氏が魚肉エキスでできた有機肥料を選ぶ理由は、おいしさや経済的な面からだけでなく「土を傷めたくない」という思いも大きい。「土作りは大事です。有機肥料だから大丈夫と言う訳ではないと思うんですが化学肥料は土が傷みやすい。ハウス栽培は移動をするのも難しいので有機肥料で土を優しく使いながら、長くそこでやり続けられるようにしたい。」