#5仲間と共に、地域と共に

チームで取り組む農業

玖珠町ピーマン部会の部会長である神連氏は7人チームでピーマンづくりに取り組んでおり、農協や農協を通じて大手スーパーへ共同出荷している。
チームで出荷することにより、出荷総量を確保しやすく経営の安定にもつながるが、目標量達成のためには常に気を配る必要がある。

「量が減り出した時は自分がみんなのカバーにはいります。それも、有機肥料を使うことで安定してるからカバーに走れるんです。普段は他のメンバーの分を優先して出していくから、出荷する量が一番少ないんですよ。」

チームを先導する彼は、地域や世の中の動向にも積極的に目を向けていることが窺えた。
新しい取り組みも気負わず、まずは自分が実践し、そして仲間も巻き込んでいく。

地域の人との会話から生まれる取り組み

近年始めた農福連携(注1)、農業生産工程管理(GAP)(注2)、ネギ栽培の取り組みは、地域の農業関係者との会話から始まった。

社会復帰を目指す障害者の人たちが、月に一度草取りに来るという「農福連携」の取り組みは、ピーマン部会の部会長を務める彼の元に、県の振興局からの相談があり始まった。

「関係部署の人が相談に来たので、いいよいいよって。僕は少しでも仲間が増えればいいなぁと思ってね。彼らが草取りをしてくれるので除草剤を使わずに、自分はその分農作物を見て回れるんです。取り組みは2年目で、お互いにもうよく知ってるから彼らも喜んで来てくれて、僕もすごい助かってます。」

「農業生産工程管理(GAP)」の取り組みは、減農薬で化学肥料を使用しない野菜を探していた大手スーパーからの、県を通じた相談で始まった。「話を聞いた時はまだピーマンの部会長でもなかったけれど、やろうやろうって声をかけて回って、若手を7人くらい集めました。当時の部会長も、なんでそんなに集まったんやろうって驚いてましたね。」

始めたばかりの白ネギ栽培は、県の振興局のネギ栽培の担当者から補助金があるからと勧められたことがきっかけだった。これまで栽培してきた梨から白ネギへと切り替えることにし、20本の梨の木を自らユンボに乗って抜根したという。

「そういうのにすぐ乗っかっちゃうんです(笑)。」簡単な選択や作業ではないことが想像できるが、神連氏が話すと大変なことも明るく聞こえてくる。
100%有機肥料栽培の白ネギとして他との差別化をはかり、新しい販路を模索していくとのこと。「取引がうまくいけば、頑張って一緒に作ろうやってみんなに言える。」と、仲間のことも、もちろん考えている。

今後は「2050年カーボンニュートラル」(注3)の実現にむけて減農薬から無農薬栽培へ移行し、有機JAS認証(注4)の取得を目指している。